膝・スポーツ

膝・スポーツ班は長崎大学病院スポーツ医学診療センターの部門として,主に膝関節鏡を用いた手術を行っています。膝関節鏡は直径約5mmと細いため,約1cmの皮膚切開で膝の中に入れることができ,関節の中をすみずみまで観察できます。よって,低侵襲で正確な手術が可能となります。膝関節鏡を用いる主な対象疾患として膝靱帯損傷,膝半月板損傷,変形性膝関節症があります。スポーツや仕事への復帰を目指して治療に取り組んでいます。

准教授米倉 暁彦
助教中添 悠介
助手西 紘太朗

関節鏡下靱帯再建術

膝靱帯損傷の中では膝前十字靭帯(ACL)に対する靱帯再建術が最多です。本学のACL再建術はハムストリング腱(膝屈筋腱)を用いた2重束再建法(2ルート法)と呼ばれる手術法で、ACLを2つの線維束別に2本の移植腱で再建することで,できるだけ正常靱帯に近い形状を目指します。また,膝の状態に応じて骨付き膝蓋腱を用いることもあります。ACLの他に内側膝蓋大腿靱帯や後十字靭帯などの靱帯手術も行っています。(過去5年間の平均年間手術数:60例)

関節鏡下半月板切除術/縫合術

半月板はスポーツ活動や変形性膝関節症に伴って損傷することが多いです。手術は膝関節鏡を用いて損傷した部分のみを取り除く「切除術」と,損傷部を縫合糸などを用いて修復する「縫合術」を行っています。特に若年者ではできるだけ縫合術を行っていますが,手術後リハビリテーションに時間がかかることと,癒合しなかった場合は後に切除術が必要になることが欠点です。(過去5年間の平均年間手術数:56例(靭帯再建術と同時に行った半月板手術を除く))

膝周囲骨切り術

変形性膝関節症に対して世界的に良く行われている高位脛骨骨切り術(OWHTO)に加えて、大腿骨遠位骨切り術(DFO)や本学の千葉剛次先生考案による脛骨顆外反骨切り術(TCVO)を行っています。膝周囲骨切り術は患者さんご自身の骨を金属プレートを用いて矯正する手術です。よって,手術をする年齢に制限がないこと,手術後の仕事やスポーツは痛みに応じて制限がないことが利点です。(過去5年間の平均年間手術数:48例)