多彩な機能を有する上肢の障害の中で、主に肩関節、肘関節の慢性疾患を対象に治療を行っております。
講師(スポーツ医学診療センター副センター長) | 梶山 史郎 |
助手 | 青木 龍克 |
肩関節外科
肩関節の慢性疾患に対しては、主として関節鏡視下の手術を行っています。中高年の患者さんに多い腱板断裂に対し、鏡視下肩峰下除圧術、腱板修復術を行っています。一方、若年層に多い反復性肩関節脱臼に対しては、鏡視下バンカート修復術を行っています。ラグビーなどのコンタクトスポーツの症例に対しては、鏡視下バンカートブリスト―法を行っています。また、オーバースロースポーツ、ことに野球のピッチャーに多いとされる投球障害肩に対し、その病態に応じて関節唇修復、骨棘切除、腱板修復術を鏡視下に実施しています。外傷後の患者さんを中心とした拘縮肩に対しても鏡視下で関節包解離術を行っています。
一方、鏡視下手術で対応できないような関節破壊を伴う変形性肩関節症やリウマチ性肩関節症の患者さんに対しては、人工肩関節置換術、人工骨頭挿入術を行っています。
また、腱板断裂関連関節症などに対し、2014年より日本で使用可能となったリバース型の人工肩関節置換術を行っています。
肘関節外科
スポーツや重労働での上肢の使用に伴う変形性肘関節症、離断性骨軟骨炎などに対し、関節鏡視下の手術(クリーニングなど)を行っています。また、野球肘といわれる肘関節スポーツ障害の中で、進行した離断性骨軟骨炎に対しては、遊離体摘出や骨軟骨移植などで対応しています。
多関節の腫脹、疼痛をきたすことの多い関節リウマチの患者さんの中で、肘関節の障害が強い症例に対し、関節破壊の程度に応じ鏡視下滑膜切除術や人工肘関節置換術を行っています。
また、離断性骨軟骨炎をはじめとする野球肘障害の啓発、予防のため、近隣の整形外科施設と連携し、野球肘検診を行っています。
偽関節、陳旧性脱臼に対する手術
上腕、前腕など上肢の骨折後に骨癒合が得られなかった症例や、肘関節周囲を中心とする脱臼の治療後に脱臼が残存している陳旧性の症例などに対し、偽関節手術、骨移植術や観血的脱臼整復術、骨切り術などを行い、骨癒合および機能再建をめざしています。